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環境

ENVIRONMENT

気候変動への対応

パリ協定、TCFD提言を支持し、気候変動への対応を緊急性の高い重要な問題と認識しています。気候変動による大きなリスクへの対応に努めるとともに、新たな機会をもたらす成長機会と捉え、気候変動への対応を当社グループ全体で積極的に推進してまいります。

TCFDフレームワークとは

TCFDフレームワークとはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)によって公表された、気候変動による企業への財務影響を開示するための枠組みのことです。このフレームワークは以下の4要素で構成されています。

ガバナンス :
気候変動に対してどのような体制で検討し、それを企業経営に反映しているか。
略 :
短期・中期・長期的な気候変動によって、企業経営にどのような影響を与えるか。​またそれについてどう対応していくのか。
リスク管理 :
気候変動のリスクについて、どのように特定、評価し、またそれを低減しようとしているか。
指標と目標 :
リスクと機会の評価について、どのような指標を用いて判断し、目標への進捗度を評価しているか。

ガバナンス

当社では、ESGの側面を経営戦略に統合し、長期的な視野で持続可能な経営を実践することを目的として、2023年6月よりサステナビリティ委員会を設立しています。同委員会は四半期に一回開催され、気候変動対応の責任者である代表取締役社長を委員長として、実行委員長であるサステナビリティ担当取締役や執行役員、専門委員長等の委員で構成されており、サステナビリティ事項の重要課題の特定、戦略・目標の策定、施策の進捗管理・評価、グループ全体への展開等の管理監督を担っています。

特に気候変動事項については、専門委員会である社会共生委員会を設置し、各部門にて検討された内容が集約され、同委員会を通して取締役会に報告されます。​

取締役会では、執行側の気候変動に関する取組状況を監督しており、サステナビリティ委員会へフィードバックしていく仕組みとなっています。

戦略

●分析のプロセス

TCFD提言で示された各リスク・機会の項目を参考に、気候変動問題が当社グループの事業に及ぼすリスク・機会に関して、以下のステップで検討しました。

また、1.5℃シナリオと、4℃シナリオの二つのシナリオを用いて、政策や市場動向の移行(移行リスク・機会)に関する分析と、災害などによる物理的変化(物理リスク・機会)に関する分析を実施しました。

1.リスク・機会の特定と評価 2.シナリオ群の定義 3.財務インパクト評価 4.対応策の検討

気候変動シナリオについて

気候変動の影響を抑制するためにカーボンニュートラル実現を目指した取組みが活発化し、世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5℃未満に抑えることを目指したシナリオ。1.5℃シナリオでは、移行リスクの中でも政策・法規制リスクの影響が2℃シナリオに比べて大きくなると想定されています。

●1.5℃シナリオ(脱炭素シナリオ)

気候変動の影響を抑制するためにカーボンニュートラル実現を目指した取組みが活発化し、世界の平均気温を産業革命期以前と比較して1.5℃未満に抑えることを目指したシナリオ。1.5℃シナリオでは、移行リスクの中でも政策・法規制リスクの影響が2℃シナリオに比べて大きくなると想定されています。

●4℃シナリオ(高排出シナリオ)

気候変動対策が現状から進展せず、世界の平均気温が産業革命期以前と比較して今世紀末頃に約4℃上昇するとされるシナリオ。物理リスクにおける異常気象の激甚化や海面上昇リスクによる影響が大きくなると想定されています。

<1850〜1900年を基準とした世界の平均気温の変化>

リスク・機会のインパクト評価と対応策の選定

1.5℃シナリオでは脱炭素化への外圧が強まることで、医療現場において省エネ設備や環境配慮型製品が選定される世界観となり、低炭素製品や自社の排出削減活動が企業価値向上に影響を与えると認識しています。一方で、4℃シナリオでは低炭素化・脱炭素化は推進されず、CO2排出量は増加傾向となり、異常気象、災害リスクが高まり、サプライチェーンの分断により事業活動への影響が出る可能性があります。

<事業に影響を及ぼすリスク>

リスク 分類 ドライバー リスク内容 時間軸 影響度
移行リスク 法規制・政策 炭素価格の導入・炭素価格の高騰 自社排出量(Scope1-2) に対して費用が発生する 中期
GHG排出規制の強化に対応するため省エネ、再エネ導入費用が発生する 短期〜中期
技術 再生可能エネルギー電源の増加 電源構成の変化に伴い、電気料金が増加する 中期
物理リスク 急性 自然災害の激甚化 自社施設の被災に伴い、在庫への影響や操業停止により費用負担の増加、収益が減少する 短期〜中期
物流網の寸断により配送費用が増加する 短期〜中期

<事業に影響を及ぼす機会>

機会 分類 ドライバー 機会内容 時間軸 影響度
機会 市場 DX化市場の拡大 医療機関のDX化に伴いデジタルヘルスソリューションの需要が増加する 短期〜中期
レジリエンス 脱炭素取組みの強化 脱炭素の取組みを訴求することで外部からの評価が上がり、資金調達費用が減少する 中期
資源効率 省エネ製品の導入促進 事業所での省エネ機器導入による運用費用が減少する 短期〜中期
エネルギー源 再生可能エネルギー電源の導入 太陽光発電や蓄電技術の導入・拡大により、電力購入費用が減少する 中期
  • ※時間軸 短期:3年以内、中期:3~10年、長期:10~30年
  • ※影響度 大:10億円以上、中:3~10億円、小:3億円未満

リスク管理

●気候関連リスクを識別・評価するプロセス

気候変動に伴うリスクは各事業部門、社会共生委員会、リスク委員会を通じてサステナビリティ委員会にて識別、評価されます。リスク委員会での評価頻度は半期に一回としており、今後は重要度評価項目として、財務への影響度と緊急度にて評価を実施いたします。評価の結果、特に重要と判断されたリスクに関しては必要に応じて、サステナビリティ委員会を通じて取締役会へ報告されます。

●気候関連リスクを管理するプロセス

識別・評価されたリスクについては、全社のリスク管理を担っているリスク委員会と連携され、全社統合的なリスク管理体制を構築しております。リスク委員会で検討された対応策はサステナビリティ委員会を通じて取締役会へ報告された後に、取締役会にて審議・検討を行い関連するグループ各社に通知されます。

●全社のリスク管理への統合プロセス

当社グループでは、サステナビリティ委員会の専門委員会の一つとして「リスク委員会」を設置しています。
リスク委員会は四半期に1回開催され、グループ全体のリスク管理を行う体制としています。
リスク委員会では、「コンプライアンス委員会」「当社グループを横断した委員会(情報システム委員会、人事・総務委員会等)」「サステナビリティ委員会の専門委員会(社会共生委員会、人的資本委員会等)」の各委員会で評価・分析され報告された重要なリスクを集約・精査し、サステナビリティ委員会と連携のうえ取締役会に報告することとしています。気候関連リスクについても、社会共生委員会の分科会とリスク委員会が連携し、全社統合的なリスクとして管理されます。

指標と目標

当社は、気候関連問題が経営に及ぼす影響を評価・管理するため、GHGプロトコルの基準に基づき2022年度(2022年7月~2023年6月)の温室効果ガス排出量(Scope1-3)の算定を実施しました。温室効果ガス排出量の削減目標については、当社グループを対象に2030年度に2022年度の基準排出量からScope1,2を42%削減する水準を設定しています。 なお、今後はScope3の削減目標についても設定し、サプライチェーン全体で温室効果ガスの削減を図ってまいります。

<2022年度温室効果ガス排出量(Scope1-3)>

Scope Scope3カテゴリー 排出量(t-CO2
Scope1+2 合計   9,001
Scope1   6,471
Scope2   2,530
Scope3 1 購入 995,132
2 資本財 3,032
3 その他燃料 1,730
4 輸送(上流) 1,387
5 廃棄物 190
6 従業員の出張 405
7 従業員の通勤 982
11 商品の使用 1,193,354
12 商品の廃棄 1,087
Scope3 合計 2,197,298
合計 2,206,300

※Scope3 8リース資産(上流)、9輸送(下流)、10商品の加工、13リース資産(下流)、14フランチャイズ、15投資は当社の事業と関連性がないため、算定対象外としております。