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執筆
株式会社千正組代表
元厚労省官僚
千正 康裕
慶応大学法学部卒。2001年厚生労働省に入省し、8本の法律改正に携わる。2019年に退官後、コンサルティング会社「千正組」設立。内閣府、環境省の有識者会議委員を歴任。朝日新聞デジタル有識者コメンテーター。著書に「ブラック霞が関」(新潮社)など。
医師の働き方改革について、4月に制度が施行されたあとの定着の状況や実態が徐々に明らかになってきています。2024年10月23日に日本医師会が公表した制度施行後調査は、全国14,216の医療機関を対象とし、そのうち4,082施設(28.7%)が回答した大規模な調査です。今回はこの調査結果を紹介します。
医師派遣が制限されるのではないかという指摘が多く寄せられていましたが、実際のところはどうだったのでしょうか。医師の派遣を受け入れている医療機関の回答結果を紹介します。
① 医師の引き揚げによる影響
引き揚げにより医師数が昨年度より減少しているとの回答が11.2%(制度施行前予想では13.0%)、令和7年度以降引き揚げにより医師数が減少することが見込まれるとの回答が15.6%(制度施行前は22.8%)と、いずれも制度施行前調査時点の想定よりは影響が小さかったことがうかがえます。
② 宿日直の応援医師の確保
宿日直の応援医師の確保が昨年度より困難になっているとの回答が21.6%(制度施行前予想では24.8%)、令和7年度以降宿日直の応援医師の確保が困難になることが見込まれるとの回答が23.9%(制度施行前予想では32.7%)と、いずれも①と同様に制度施行前調査時点の想定よりは影響が小さかったことがうかがえます。
地域の医療提供体制で実際に生じていると考えている問題点については、以下の通りです。
① 救急搬送の受入困難(断り)事例の増加 (15.6%)
② 専門的な診療科の紹介患者(ハイリスク患者)の受入困難(断り)事例の増加 (8.3%)
③ 医療圏域外への搬送事例の増加 (7.5%)
④ 母体搬送・ハイリスク妊娠の受入困難(断り)事例の増加 (2.1%)
⑤ その他 (1.4%)
全体として見ると、制度施行前の想定と比べると、影響を比較的うまく飲み込んでいるようにも見えます。一方で、管理者の業務負担増加の状況が見て取れます。まだ制度が施行してから半年程度なので、宿日直体制や救急医療への影響には今後も注意が必要と思われます。
参考:日医on-line 「医師の働き方改革と地域医療への影響に関する日本医師会調査」
(制度施行後調査)の結果について https://www.med.or.jp/nichiionline/article/011926.html