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公開日:2024.12.20
救急現場における「命のゲートキーパー」として、救急救命士の存在は私たちの社会に不可欠な存在となっています。高齢化の進展や自然災害の頻発化を背景に、その社会的使命は一層重みを増しています。救急救命士は、医療機関到着前の救急医療(病院前救急医療)の最前線で、高度な専門知識と技術を駆使し、一刻を争う現場で傷病者の生命予後の改善に寄与する医療のスペシャリストです。今回から、救急救命士という職業の全容と資格取得への道のりを2回に分けてご紹介します。第1回は、その具体的な職務内容に焦点を当てます。
救急救命士の中核となる業務は、救急現場での迅速かつ適切な対応です。現場に到着後、直ちに傷病者の状態を確認し、必要な応急処置を実施します。心肺停止時には心肺蘇生法や自動体外式除細動器(AED)を使用し、必要に応じて気道確保や人工呼吸も行います。重症患者に対しては、綿密な観察のもと、適切な応急処置を施します。
搬送中の医療行為も救急救命士の重要な職務です。救急車内では、バイタルチェック、心電図の測定、酸素吸入などの処置を継続的に行います。さらに、医師の指示のもと、輸液や気管内チューブによる気道確保など、より専門的な医療行為を実施することもあり、病院到着までの処置が患者の生死を分けることもあるためその責任は重大です。 また、2021年の法改正より、救急救命士が行える救急救命処置の実施場所が拡大されました。従来の「病院前」(救急車内など)に加えて、病院内の救急外来でも(医師の指示のもとで)処置ができるようになりました。ただし、救急外来で処置を受けられる患者さんは、緊急性が高く重症な方に限られます。
日常業務として、救急活動の詳細な記録と報告書の作成も欠かせません。また、救急資機材の定期的な点検・整備を行い、緊急時に確実に対応できる体制を整えています。さらに、市民向けの救命講習会の指導も担当し、地域社会の救命力向上にも貢献しています。
救急救命士は主に消防機関に所属し、24時間体制の交代制勤務を行います。一般的な勤務シフトでは24時間勤務の後に48時間の休みが設けられていますが、これは地域によって異なる場合があります。キャリアを重ねることで、救急救命士指導者への昇進や、養成所の教員としての道が開かれます。また、ドクターヘリや民間救急での勤務、病院での診療補助、消防組織内でのマネジメント職など、多様なキャリアパスが用意されています。
救急医療は日進月歩で進化しており、救急救命士には継続的な学習が求められます。定期的な再教育講習への参加はもとより、専門的な追加講習の受講、学会・研究会への参加、新しい医療機器の操作訓練なども欠かせません。また、最新の医療情報を常にアップデートし、高度な医療サービスを提供できるよう努めています。
救急救命士という職業は、単なる仕事以上の重要な社会的使命を担っています。人々の命と健康を守るという大きな責務を果たすため、日々研鑽を重ねながら、地域の安全と安心を支えています。この職業は、高度な知識と技術、強い使命感が求められる一方で、人命救助というやりがいを感じられる、将来性のある専門職といえます。医療ニーズの多様化と高度化に伴い、その重要性は今後さらに増していくと考えられます。
メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。