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医師になるための条件とは

医師になるための条件とは

公開日:2024.08.27

医師になるためには一般的に長期間を要し、多くの課題を伴います。医学部入学から卒後研修、そして専門医としてのキャリア構築までのプロセスを概説します。

5〜6年次には診療参加型臨床実習

医師になるためには、まず大学の医学部に入学する必要があります。医学部の入試は非常に競争率が高く、優れた学業成績が求められます。医学部の学費は、6年間で国公立であれば350〜360万円ですが、私立は安くても1,800万円台、高い場合は4,000万円台と高額になります。
入学後は、6年間の課程を修了する必要があります。最初の4年間は、教養教育に加え、医学教育を受けるために必要な生物学、化学などの準備教育、解剖学や生理学、病理学、薬理学などの基礎医学、そして臓器別の臨床医学などを体系的に学びます。これらの知識は、将来の医療実践の基礎となります。
医学部の後半の2年間では、臨床実習が始まります。共用試験(CBT・OSCE)に合格することが、5~6年次に行われる診療参加型臨床実習の参加要件となります。共用試験では診療参加型実習に必要な知識・技能・態度が備わっているかどうかが判断されます。
臨床実習では、診療チームの一員として診療業務を分担しながら医師の職業的な知識・技能・態度の基本的な部分を学びます。臨床実習後は、卒業後の臨床研修を開始できるレベルに到達できたかを評価する試験が実施されます。

国試合格後2年間は臨床研修

卒業後は、医師国家試験に合格する必要があります。この試験は、医学部で学んだ全ての知識を総合的に問うもので、年1回、例年2月上旬に実施されており、合格発表は3月中旬です。合格率は例年90%前後とされます。
合格し、医師免許を取得した後は研修医として、2年間の病院勤務を経験します。原則として、医師臨床研修マッチングによって研修先が決定します。臨床研修医は研修への専念義務があり、アルバイトは禁止されています。研修医時代は、内科、外科、産婦人科など、様々な診療科をローテーションで経験し、医師としての基礎を固めます。

医師の種類と専門性

医師は、さまざまな専門分野に分かれ、それぞれの分野で専門的な知識と技術が求められます。代表的な分野には、内科医(成人の病気全般を診る)、外科医(手術を通じて病気やけがを治療する)、小児科医(子どもの健康管理と病気の治療に特化する)、産婦人科医(妊娠・出産・女性特有の疾患に対応する)、精神科医(精神疾患の診断と治療を行う)などがあります。内科医の中でも、循環器内科医、消化器内科医、呼吸器内科医など、さらに細分化された専門分野があります。それぞれの分野で専門医としての資格を取得するためには、医師免許を取得後、さらに3〜5年程度の専門的な研修や実践経験が必要です。加えて、専門医試験に合格することで、その分野における高度な専門性が認められます。

医師のキャリアは多岐にわたります。臨床医として病院や診療所で患者を直接診療する道もあれば、医学研究に従事して新たな治療法や薬剤の開発に貢献する道もあります。また、医師の一部は行政機関で働き、医療政策の策定や公衆衛生の向上に関与することもあります。さらに、教育機関で未来の医師を育てる医学教育に携わる医師もいます。これらのキャリアパスはそれぞれに特徴があり、自分の興味や適性に合わせて多様な道を選ぶことが可能です。

働き方改革で加速されるタスクシフト/シェア

医療現場ではタスクシフト/シェアが進められており、2024年4月からの医師の働き方改革に伴い、さらに加速しています。
タスクシフトとは、医師が行っていた業務の一部を他の医療従事者に委譲することで、医師の負担を軽減し、より多くの患者さんに質の高い医療を提供することを目指す取組みです。特定行為研修を修了し、医師からの指示を受けたうえで一部の医療行為を行える「特定看護師」の活用も、医師の負担軽減につながると期待されています。例えば、人工呼吸器の設定変更や一部の薬剤投与の判断など、これまで医師が行っていた業務の一部を担当することで、医師はより専門的な診療に集中できるようになっています。また、薬剤師の役割も拡大し、処方箋に基づく薬剤の調整や、患者さんへの服薬指導がより詳細に行われるようになりました。これにより、医師の負担軽減と同時に、薬物療法の安全性と有効性が向上しています。
タスクシェアについては、多職種連携がさらに強化され、医師を含む複数の医療従事者が協力して患者さんの治療にあたる体制が整備されました。さらに、ICTの活用により、専門分野間の情報共有がリアルタイムで行われ、より効果的で迅速な医療の提供が可能になっています。

連携しながら治療にあたる複数主治医制

近年、複数主治医制も注目されています。これは、患者さんの病状に応じて、複数の専門医が連携し、治療にあたるシステムです。電子カルテシステムの標準化と医療機関間のデータ連携が強化され、複数主治医制の実施がより円滑になりました。例えば、糖尿病の患者さんの場合、内科医、眼科医、腎臓内科医、循環器内科医などが、クラウド上で患者情報を共有し、リアルタイムで連携しながら治療方針を決定できるようになっています。
さらに、AI技術の導入により、複数の専門医による診断結果や治療計画を統合し、最適な治療方針を提案するシステムも実用化されつつあります。これにより、個々の患者さんの状態に応じた、より精密な医療の提供が可能となっています。

複数主治医制は、単に複数の医師が関わるだけでなく、看護師、薬剤師、栄養士、理学療法士をはじめとしたリハビリテーションスタッフなどの多職種連携も含めた包括的なケアシステムへと発展しています。これにより、患者さんの病状を多角的に捉え、身体的な治療だけでなく、精神的・社会的側面も含めた全人的な医療の提供が可能となっています。

医師は、高度な知識と技術を駆使し、患者の健康を守る重要な役割を担っています。そして、医療現場を取り巻く環境は常に変化しており、医師に求められる役割も変化しています。また、タスクシフト/シェアや複数主治医制など、医療体制も進化を続けています。より質の高い安心・安全な医療を患者さんに提供するため、医師はチーム医療の一員として、他の医療従事者と協力して治療を行うことが求められています。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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