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新型コロナ、長期の後遺症の実態が明らかに

新型コロナ、長期の後遺症の実態が明らかに

公開日:2021.10.26

新型コロナウイルス感染症の流行から1年9ヶ月が経ち、長期的な後遺症の実態が明らかになりつつあります。新型コロナウイルスに感染後、回復した患者の一部は発症から1年後でも何らかの後遺症を抱え、以前の状態に戻れないことが内外の調査で示されています。全国的に新型コロナの感染者が減少傾向にあるなかで、長期的な後遺症の存在がクローズアップされています。

回復後半年経っても4人に1人に後遺症の症状が遷延

コロナ後遺症の定義は定まっていませんが、米疾病対策センター(CDC)や英国立医療技術評価機構(NICE)のガイドラインでは「コロナに感染後4週間以上経過しても継続もしくは新たに発現するさまざまな症状」と表されています。

国立国際医療研究センターの研究グルーブは、新型コロナからの回復後、4人に1人の割合で発症から半年経っても何らかの後遺症とみられる症状が出現し、1年後でも10%弱の人に症状が遷延するという研究結果をまとめ、今年9月、論文サイト「medRxiv」に報告しました。同センターは、昨年2月〜今年3月にコロナ回復患者対象の調査に参加した20〜70代の526人に改めて長引いている症状の有無などを質問しました。回答者は457人で重症度の内訳としては軽症(酸素投与を必要としない患者)が84%、中等症が13%、重症が3%でした。その回答を分析したところ、発症から半年経過しても「何らかの症状がある」と答えた人が120人(26.3%)にのぼりました。およそ4人に1人の割合で、その症状としては、嗅覚障害7.7%、味覚障害3.5%、倦怠感6.6%、息切れ3.9%、咳2.4%、脱毛3.1%、記憶障害11.4%、集中力低下9.8%、うつの症状8.1%でした。記憶障害、集中力低下、うつの症状は嗅覚、味覚障害よりも多く感じている人が多くみられました。

さらに、1年経過でも、40人(8.8%)に症状が残り、嗅覚障害1.1%、味覚障害0.4%、倦怠感3.1%、息切れ1.5%、咳1.1%、脱毛0.4%、記憶障害5.5%、集中力低下4.8%、抑うつ症状3.3%などに悩んでいました。これらの症状の1つもゼロパーセントにならなかったことは後遺症の深刻さが伺えます。

急性期にコロナの重症化リスクの高いのは男性で肥満傾向のある高齢者ですが、嗅覚、味覚障害のリスクなどの後遺症に関しては、比較的重症化リスクが低いとされている若年者、やせ型の人に出やすいことが示され、生活の質を著しく低下させる可能性がありました。また、男性と比較して女性ほど脱毛(約3倍)、倦怠感(約2倍)、嗅覚障害(約1.9倍)、味覚障害(約1.6倍)の症状が出現しやすいこともわかりました。

1年後も5割の人に症状残る

一方、中国・首都医科大学が2021年8月、英医学誌「lancet」に報告した論文によると、新型コロナで入院した人の約50%は発症から1年後も何らかの症状を訴えていました。同大学は、2020年1〜5月に中国湖北省・武漢の病院を退院した49〜67歳の患者1,276人のその後の経過を観察しました。患者のうち70%の人は、酸素投与を受けていました。

それによると、発症から半年後では全体の68%が何らかの症状を訴え、1年後でも49%の人で症状が残りました。20%に倦怠感や筋力低下、17%に睡眠障害、12%に関節痛、脱毛11%がみられました。また、30%は息切れ、26%は不安・うつ症状を訴え、これらの症状は半年後よりも割合が増えていました。息切れの症状のある患者のうち、胸部CTスキャンや肺機能検査を受けた患者の多くに、肺の異常や機能障害が認められました。

ワクチン接種を2回受け、2週間経過した後に感染が判明するブレイクスルー感染をした人も、かなりの確率でコロナ後遺症になりますが、ワクチン非接種者に比べて28日以上、症状が続きにくいという報告が海外から出されています。

コロナ後遺症の原因についてはさまざまな仮説はありますが、まだ多くが未解明です。有力なのはコロナ感染により、免疫の仕組みが機能不全に陥って自分の体を攻撃する自己免疫反応によるとするもので、後遺症患者のかなりの割合を占めているのではないかと推測されています。

現段階ではコロナ後遺症に対する確立した治療法はなく、対症療法が中心となっています。後遺症の予防はコロナに感染しないことであり、基本的な感染対策が重要といえます。

コロナ後遺症とみられる症状が残る割合

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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