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公開日:2022.11.21
ウイルスが主な原因となり冬場に患者が増加する感染性胃腸炎は、嘔吐や下痢などの症状が出現し、乳幼児や高齢者では脱水など症状が重くなる場合もあります。昨シーズンの流行はコロナ感染が拡大する以前の水準まで増えており、今シーズンも注意が必要です。感染性胃腸炎の対策としては手指のアルコール消毒では効果は乏しく、石けんと流水での手洗いが効果的とされます。
感染性胃腸炎はノロウイルスやロタウイルスなどによる感染症で、空気が乾燥し寒くなる秋から冬に流行します。ウイルスは手指や食品などを介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖します。症状は下痢、嘔吐、腹痛、発熱などで、症状の持続期間はノロウイルスの場合は1〜2日間ですが、ロタウイルスの場合5〜6日間持続することもあります。特に、ノロウイルスを原因とする場合、保育園、社会福祉施設、学校など集団生活の場で大流行することがあります。
昨シーズンの感染性胃腸炎の感染者は、コロナ感染が拡大する以前の2019年の水準まで増加しました。 感染性胃腸炎の増加の原因として新型コロナウイルス対策で普及した手指のアルコール消毒が効きにくいことが指摘されています。コロナ下では感染対策に十分気をつけていると思われますが、アルコール消毒だけで済ませてしまう人が多く、手洗いがおろそかになっていたともいわれています。手指のアルコール消毒は新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスには効果がありますが、感染性胃腸炎の病原体となるウイルスに対しては、効き目は乏しいとされます。なお、アルコール含有消毒剤には、ノロウイルスに対する不活化効果を期待できるといわれているものがあります。
ウイルスには、膜を持つ構造のエンベロープウイルス(コロナウイルスやインフルエンザウイルスなど)と、膜を持たない構造のノンエンベロープウイルス(ノロウイルスやロタウイルスなど)があります。膜のあるウイルスにはアルコール除菌が有効とされますが、膜のないウイルスは、ウイルス表面がタンパク質で構成された外殻で覆われており、アルコール除菌が効きにくいとされます。ノロウイルスは病院で感染予防に用いられる75%アルコールによる消毒では不活化しないことが確認されています。一方、石けん自体にはノロウイルスを直接失活化する効果はありませんが、手の脂肪などの汚れを落とすことにより、ウイルスを手指からはがれやすくする効果があるとされます。手や指に付着しているウイルスの数は流水による15秒の手洗いだけで100分の1に減少し、石けんやハンドソープで10秒もみ洗いの後に流水で15秒すすぐと、1万分の1まで減らせます。
感染性胃腸炎に罹った場合の家庭における消毒としては、感染者が排便した後の水洗レバーやドアノブなど、手の触れやすいところからも感染するので、0.02%次亜塩素酸ナトリウム溶液でペーパータオルなどを使って消毒し、約10分後に水拭きします。感染者の症状が無くなっても1週間程度は便からウイルスが排泄されているので、治癒後1週間は続けます。なお、嘔吐物の処理をする時は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用して、換気しながらペーパータオルなどで拭き取り、ビニール袋に入れて縛り破棄します。その後、汚染された場所を0.1%次亜塩素酸ナトリウム溶液でペーパータオルなどを使って消毒し、約10分後に水拭きします。尚、次亜塩素酸ナトリウム溶液は、ご家庭でもハイターなどの家庭用塩素系漂白剤を薄めて作ることができますが、希釈の仕方(濃度)を間違えると健康被害をきたす場合があり注意が必要です。手指・皮膚の消毒には使用しないでください。
感染性胃腸炎に罹ったときは、適切な対症療法を行うとともに、感染の拡大を防ぐことが重要です。なお、脱水症状がひどい場合には病院で輸液を行うなどの治療が必要になるため、早めに医療機関を受診しましょう。
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