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公開日:2023.07.27
変形性股関節症は、足の付け根にある股関節に痛みを起こす病気で、患者は全国で推定500万人いるといわれています。生活改善や運動療法、薬物療法を行っても痛みが改善されない場合には手術を考えます。主な手術法である関節鏡視下手術、骨切り術、人工股関節置換術についてまとめます。
変形性股関節症は、大腿骨と骨盤の間にある軟骨がすり減り炎症や痛みを発症させ、骨と骨の接合部のずれが軟骨の状態を悪化させていきます。加齢とともに進行するケースが多く見られます。患者数は推定500万人ともいわれ、女性の方がかかりやすい傾向にあります。治療としては、生活習慣の見直しなどの生活改善のほか、運動療法、薬物療法が挙げられますが、これらを行っても痛みが改善されない場合には手術を検討します。主な手術としては、関節鏡視下手術、骨切り術、人工股関節置換術があります。
多くの場合、初期の変形性股関節症に対して用いられる外科的な治療法は、関節鏡視下手術となります。関節に内視鏡を入れて治療をするもので、皮膚を2〜3か所、1cmほど切開して、そこから関節の中に直径5mm程度の関節鏡と器具を挿入して行います。関節内の軟骨片や炎症を起こした組織を切除するなどして炎症を改善させます。低侵襲で手術時間も1〜2時間と短く、社会復帰も早いとされます。
骨切り術は、一般に、症状がそれほど進行しておらず軟骨が十分に保たれている場合に行われる手術で、骨盤側と大腿骨側の手術があり、どちらも骨の一部を切り取って活用し、変形した股関節の形を整えることで症状を改善させます。手術後は、4~6週間かけて手術した側の脚にかける負荷を徐々に増やしていくなどのリハビリテーションを行います。
末期まで進行した場合には、人工股関節置換術の検討が必要となります。股関節の損傷している部分を人工股関節(インプラント)に置き換える手術です。人工股関節置換術では、股関節の損傷している部分を切除したあと、骨盤の窪みにカップ状の部品を取り付け、大腿骨にステムという土台の部品を差し込み、その先にボール状の部品を取り付けて組み立てます。多くの場合、痛みはほとんど消失し、脚もほぼ自由に動かせるようになるといわれています。手術後はおおむね2週間程度のリハビリテーションを行います。これまでは高齢患者が中心でしたが、人工股関節の耐用年数が20〜30年程度までに延長したことで、より若い年齢層でもこの手術を選択する人が増えています。
人工股関節置換術では、ロボティックアーム(ロボットのアーム)を使用した手術が2019年に保険適用となりました。ロボティックアームは、医師が操作して、人工関節のコンポーネントを設置する骨を削ったり、実際に設置するのを補助したりするシステムです。手順としては、あらかじめ患者の股関節をCTで撮影し3次元モデルを作成します。このモデルを利用して骨の削り方や人工股関節の埋め込み方をシミュレーションした上で手術に臨みます。手術は、医師が術前計画の3次元画像を見ながらナビゲーションシステムに沿ってロボティックアームを操作しますが、術前計画以外の動きが自動的に制御されるため、より安全で正確に手術を行えることがメリットとされています。
今回は、変形性股関節症の手術法(関節鏡視下手術、骨切り術、人工股関節置換術)を紹介しましたが、どの手術でも、手術後の生活改善や運動療法、薬物療法などを継続することが重要です。また、変形性股関節症は進行するほど、治療の選択肢は限られてきますので、手術を希望する場合は早めに検討したほうがよいとされます。
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