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公開日:2024.12.12
交通事故や災害など、緊急性の高い状況で、重症患者を迅速に病院に搬送し、命を救うために活躍するのがドクターヘリです。医師や看護師が同乗し、現場で初期治療を行うことで、患者の生存率向上に大きく貢献しています。第4回ではドクターヘリの現状と課題について解説します。
救急車は地上を走行するため、渋滞などの影響を受けやすく、遠隔地への移動に時間がかかります。一方、ドクターヘリは空中を飛行するため、迅速な移動が可能です。医師による初期治療が始まるまでの時間を比較すると、搬送距離が40kmの場合、救急車では約80分かかりますが、ドクターヘリの場合は、救急隊が現場に到着してから要請した場合は約40分で、救急隊が到着する前に要請した場合はさらに10分短縮されます。また、救急車には医師が同乗していませんが、ドクターヘリには医師や看護師が同乗し、現場で初期治療を行うことができます。
ドクターヘリと救急車は連携して運用されており、重症患者の現場到着時に救急車のスタッフがドクターヘリのスタッフに引き継ぐなど、お互いの役割を果たしながら患者の搬送と治療にあたっています。
ドクターヘリは、主に離島や山間部など、救急車の使用が難しい、または到達に時間がかかる地域での出動が求められます。こうした地域では、ドクターヘリによって患者の搬送時間を大幅に短縮できるため、重症患者の救命率向上に大きく貢献しています。
日本では2001年に初めてドクターヘリの運航が始まりました。そして徐々に全国各地に整備が進められ、2024年現在、56機のドクターヘリが配備されています。2021年度は、ドクターヘリに緊急要請が34,268件あり、そのうち26,921件の要請に出動して対応しました。ドクターヘリが出動できなかった理由としては、同時に複数の要請があったためが6.4%、悪天候によるものが10.1%ありました。近年は、気象条件による出動不能の割合が増加する傾向にあり、地球温暖化の影響も考えられています。ドクターヘリで診療を受けた患者数は21,511人で、対応した症例の内訳を見ると、交通事故が減少傾向にある一方で、内因性の病気が増加していることがわかります。
ドクターヘリは、心肺停止患者の蘇生率向上や、脳梗塞患者の予後改善など、多くの事例で大きな成果を上げています。例えば、2021年に長野県で出動したドクターヘリは、心肺停止状態の患者に現場で迅速に救命処置を施し、その後病院に搬送しました。病院での治療により、患者の命を救うことができました。このように、ドクターヘリの活躍は、地域の救急医療体制の強化に大きく貢献しています。
ドクターヘリの配備には地域差があり、人口が密集する地域を中心に整備が進んでいます。一方で、過疎地域では導入が遅れており、地域格差の解消が課題となっています。また、運営コストの確保や、操縦士や医療スタッフの確保など、導入・維持に関する課題も指摘されています。ドクターヘリの全国展開を推進するために、国は運航に必要な経費及び夜間運航を行う場合に必要な経費などについて財政支援を行っています。
ドクターヘリの課題としては、このほか、悪天候時の運航制限などが挙げられます。これらの課題に対して、遠隔操縦技術の活用やAI支援システムの導入などが検討されており、さらなる効率化と運用の安定化が期待されます。 また、離島や山間部への配備を進めることで、地域格差の解消にも取り組む必要があります。 ドクターヘリは、これからも地域医療の重要な担い手として、その役割を果たし続けていくことが期待されています。
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