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公開日:2024.11.20
救急車の出動件数は年々増加の一途をたどっています。緊急性の高い症状への迅速な対応が求められているなかで、軽症患者による安易な救急要請も増加傾向にあり、限られた救急医療リソースの適切な活用が喫緊の課題となっています。第3回では、救急車の適切な利用方法と、その判断基準について解説します。
119番通報をする際は、まず落ち着いて対応することが大切です。通報時には、救急であることと発生場所、傷病者の状態、そして通報者の氏名と連絡先を明確に伝えましょう。救急隊が到着するまでの間、場所が分かりやすいよう誘導する人を配置したり、夜間の場合は外灯を点けるなどの工夫も効果的です。また、救急隊に引き継ぐまでの間に応急手当が必要な場合は、119番オペレーターの指示に従って対応することが重要です。
救急車の要請が必要かどうかの判断は、時として難しい場合があります。
・意識がないまたはもうろうとしている状態
・呼吸が困難な状態
・急な胸痛や激しい痛みがある
・大量出血がある
・重度のやけどや外傷を負っている
・脳卒中が疑われる症状(突然の麻痺や言語障害など)が見られる
このような場合には、迷わず救急車を要請すべきです。
「なんとなく様子がおかしいけれど、こんな症状で救急車を呼んでいいのだろうか」と、救急車を呼ぶべきか迷った際には、救急安心センター(♯7119)への相談が有効です。このサービスは24時間365日対応しており、医師、看護師、トレーニングを受けた相談員などが電話口で相談に応じています。救急車の要請の必要性を判断できるだけでなく、適切な医療機関の案内も受けることができます。
また、全国版救急受診アプリ(Q助)の活用も勧められています。Web版とアプリ版があり、それぞれ該当する症状を画面上で選択していくと、緊急度に応じた必要な対応が表示されます。さらに、隣県も含めた医療機関の検索や、「全国タクシーガイド」にリンクして受診手段の検索を行うことができます。
全国の救急車出動件数は年間約760万件を超え、搬送者は約664万人となり、コロナ禍で外出が控えられた2020年、2021年を除き増加の一途をたどっています。
出動件数はこの20年で1.5倍以上になっています。また、通報を受けて救急車が現場に到着するまでの平均所要時間は、2012年は8分3秒でしたが、2022年は初めて10分の壁を超え、10分3秒になりました。心肺停止後、10分を超えると生存率は下がると言われ、こうした救急車の遅延は、国民の生命に対する重大なリスクとなっています。
出動件数の増加の要因としては、高齢化の進展が挙げられます。高齢になるとどうしても救急車を利用することが多くなります。一方で、搬送された方の約半数は軽症であることが判明しており、本来必要な緊急対応に支障をきたす可能性が指摘されています。
また119番通報では、「今やっている病院を教えてほしい」、「症状の相談がしたい」など緊急性が低い通報が全体の2割を占めています。こうした状況を受け、松阪市などでは今年6月から軽症での不適切な救急車利用に対して有料化を導入しています。また、茨城県でも今年12月から同様な制度を開始します。これは限られた医療資源を効率的に活用するための取組みの一つとして注目されています。
救急出動件数の増加は、医療現場に深刻な影響を及ぼしています。救急隊員の過重労働や救急医療機関の受入れ体制の逼迫、そして本当に緊急を要する患者への対応の遅れといった問題が発生しています。
この状況を改善するため、様々な対策が検討されています。市民への啓発活動を強化し、適切な救急車利用についての教育や応急手当の知識の普及を進めることが重要です。また、救急医療従事者の確保と育成、救急医療機関の受入れ体制の強化といった医療体制の整備も急務となっています。さらに、民間救急サービスの活用やオンライン診療の普及など、新たなサービスの充実も進められています。
救急車は私たちの命を守る重要な社会インフラです。その適切な利用について、私たち一人一人が考え、行動することが求められています。医療資源の有効活用と、真に救急車を必要とする人々の命を守るため、社会全体で取り組んでいく必要があります。
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