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公開日:2024.11.11
全国的に小児の救急医療体制の整備は進展していますが、医師不足や地域間格差など、解決すべき問題が依然として存在します。特に夜間・休日における専門的な診療体制の確保は喫緊の課題となっており、各地域で独自の工夫を重ねながら、子どもの健康と家族の安心を守るための取組みが続けられています。第2回では、小児救急医療に焦点を当てて紹介します。
総務省消防庁の令和5年版救急救助の現況では、救急搬送される小児(新生児除く)の多くは軽症であり、重症患者の割合は成人に比べて少ないことが示されています。小児の救急患者数は大人の約8.4%(48万人)で、軽症77%、中等症は22%、重症は1.4%にとどまります。このことから、子どもの特性に合わせた小児専門の救急体制が必要とされます。小児は疾患の進行が早く、特有の身体的・心理的ケアも求められるため、専門知識を備えた医療体制が不可欠です。
小児救急医療は、症状の重症度や緊急度に応じて、3段階の体制で対応しています。
まず、初期小児救急(一次救急)として、地域の診療所や夜間急病センターが比較的軽症な患児の診療を担当しています。発熱、腹痛、軽度の外傷など日常的な救急患児に対して、多くの場合、翌日までの応急的な診療を提供します。
次に、小児地域医療センター(二次救急)では、入院治療を必要とする患児に対応しています。地域の中核的な病院が担当し、24時間体制で小児科医が常駐して、肺炎、喘息発作、中等度の脱水など、短期の入院加療が必要な患児の診療にあたります。
そして、小児中核病院(三次救急)では、生命の危機に関わる重症患児に対する高度専門医療を提供しています。小児救命救急センターや大学病院などが担当し、重症感染症、重篤な外傷、心疾患など、高度な専門医療を必要とする患児の診療を行うほか、特殊な医療機器や小児集中治療室での管理が必要な患児にも対応します。
このように、重症度に応じた段階的な医療提供体制を整備することで、限られた医療資源を効率的に活用し、適切な医療を提供することを目指しています。
小児救急医療体制は、小児専門病院や総合病院内の小児救急センターを中核として全国に整備されていますが、その充実度には地域差が存在します。大都市圏では24時間体制での対応が可能な一方、地方では医師の偏在や採算性の課題から、同水準のサービス提供が困難な状況にあります。
この課題に対し、地域によっては医療機関が連携して輪番制を採用するなど、限られた医療資源の効率的な活用を図っています。特に夜間・休日の対応は重要ですが、医師の労働時間規制やスタッフ確保の問題から、すべての医療機関での24時間対応は現実的ではありません。
そこで補完的な対策として、夜間休日急患センターの設置や、電話相談サービスの提供が進められています。特に全国共通の「#8000(こども医療でんわ相談)」は、保護者の心強い味方となっています。このサービスでは、居住地の相談窓口に自動転送され、小児科医または看護師から症状に応じた適切な対応方法や受診の判断基準について、専門的なアドバイスを受けることができます。
現在の小児救急医療における重要な課題として、小児救急の体系における初期・二次救急医療と救命救急医療の区分の明確化が求められています。また、ショックや外傷、熱傷等の救命処置が必要な重篤疾患への対応と県域を越えた広域診療体制の確保も重要です。さらに、先天性心疾患や先天奇形など小児特有の疾患に対する質の高い診療体制の整備も必要不可欠となっています。小児救急医療は、子どもとそのご家族の安心を支える重要な医療サービスです。現在の課題に対応し、医療体制の充実と質の向上を図ることが求められています。同時に、保護者への啓発活動やかかりつけ医との連携強化など、社会全体で支える取組みも不可欠です。
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