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公開日:2022.06.24
政府は全国民に毎年の歯科健診を受けてもらう「国民皆歯科健診」の導入に向けて検討する方針をまとめました。歯の健康を維持して他の病気の誘発を抑え、健康寿命を延ばすことで医療費の抑制を目指したいとしています。
日本人では、40歳以上の約8割が歯周病の症状を持っているとされます。歯周病菌の感染によって歯周組織の炎症が進行し、口のなかの粘つき、歯磨きの際の出血、口臭、歯茎の腫れ、歯肉の痛みなどの症状が現れます。進行すれば歯が抜け落ちることもあります。最近の研究で、歯周病が誤嚥性肺炎、動脈硬化、心臓病、脳卒中、糖尿病、早産、関節リウマチ、アルツハイマー病などの病気と関係があることがわかってきました。
歯磨きが不十分だと、歯垢(プラーク)や歯石が歯と歯ぐきの境目に繁殖します。プラークの中には、重量1mgあたり1億個の細菌が含まれ、細菌が作り出す毒素によって、歯肉に炎症が生じ、腫れたり出血しやすくなり、歯と歯肉の間の隙間(歯周ポケット)ができます。歯周病には、歯周病菌と言われる複数の細菌が関わっていると考えられています。歯周病菌の酵素や毒素は歯を支える歯槽骨を溶かし、歯がグラグラしてきたり、歯肉が下がってきたりして歯が抜け落ちたりします。そして、歯周病菌、菌の作り出す酵素や毒素、さらには歯周病組織で作られるサイトカイン(炎症を引き起こす物質)などが持続的な供給源となり、血管を通して全身に運ばれて、全身の疾患に悪影響を及ぼしていると考えられています。例えば、心臓の内膜に歯周病菌が付着すると心内膜炎を起こして、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めるとされます。また、歯周病による炎症で、プロスタグランジンと呼ばれる物質が体内で発生し、子宮を収縮させ、早産になる可能性も指摘されています。糖尿病や関節リウマチは免疫機能の低下から歯周病になりやすいといわれ、歯周病がこれらの病気を悪化させることもわかってきました。高齢者では、歯周病の罹患率が高く、口の中の細菌が肺に入り、炎症を起こすことで誤嚥性肺炎の発症につながります。
現在、歯科健診が義務づけられているのは、1歳半と3歳、小中高生の学校健診、塩酸などの化学物質を扱う人などに限られています。厚生労働省は日本歯科医師会とともに、80歳で自らの歯を20本残す「8020運動」などを進めてきましたが、自治体で40〜70歳まで10年ごとに実施している歯周病検診の受診率は1割未満とされます。そこで、国は、皆保険とうたうことで、これまで受診機会が少なかった人に働きかけていく方針といいます。具体的には、会社などの定期健康診断に歯科健診を取り入れたりします。また、唾液を採取する簡易キットを配布し、歯周病検査をするなどの案が出されているようです。このほか、口腔粘膜の異常は、口腔がんなどの可能性もありますので、お口の中の粘膜の状態を定期的にチェックすることも重要とされています。こうした口腔ケアを行うことで、病気や重症化の予防を実現し、医療費の抑制にもつなげたいとしています。
2019年度の国民医療費統計によると、歯科診療医療費は約3兆150億円で、国民医療費全体(約44兆3,895億円)の約6.8%を占めています。国民皆歯科健診の導入で早期の口腔ケアが行われるようになれば、医療費の削減につながる可能性があります。
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