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新型コロナ感染の自宅療養者へのオンライン診療の活用

新型コロナ感染の自宅療養者へのオンライン診療の活用

公開日:2021.08.18

コロナ禍で、初診を含めたオンライン診療が昨年4月に時限措置として認められ、1年以上が経ちました。新たな治療の選択肢として注目されましたが、オンライン診療に対応する医療機関は依然少ないのが状況です。しかし、昨今の新型コロナウイルスの感染拡大による自宅療養者の急増に対応するため、オンライン診療を活用する動きが広がり始めています。

遠隔診療対応の医療機関は伸び悩み

厚生労働省 第15回オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会(令和2年5月31日開催)資料より

国は2020年4月に新型コロナによる院内感染のリスクを避けるため、オンライン診療を特例的に解禁しました。それ以前は初診からの利用は認めず、疾患の対象範囲も高血圧や糖尿病など慢性疾患に限定していました。新型コロナ感染が収束するまでの間は制約を外し、新型コロナ疑いも含めて発熱や頭痛など急性期の症状でも受診できるようになりました。しかし、オンライン診療に対応する医療機関は少なく、電話を含めた遠隔診療を実施する医療機関は全体の約15%の約1万6,000施設とされます。また、初診から対応するのは約6%の約7,000施設に過ぎません。電話による受診が多く、オンライン初診は増えていません。その理由としては、システムの導入に費用がかかるほか、診療報酬が対面診療よりも低いことが挙げられます。

早期治療や重症化の予防につなげる

そうした背景のなかで、新型コロナ感染の自宅療養者に、オンライン診療を活用する動きが医師会を中心に広がり始めています。原則として自宅療養になるのは重症化リスクの低い軽症者ですが、新型コロナの爆発的な増加に伴い、医療体制が逼迫している地域では中等症でも入院できず自宅療養を余儀なくされるケースもみられています。オンライン診療は、こうした患者の早期治療や重症化の予防につながるものとされます。厚労省は8月16日から新型コロナに感染した自宅療養者に対して、オンラインや電話で診察した際の診療報酬を引き上げることにしました。初診の報酬は従来の2倍超、再診は4倍超となります。

神奈川県藤沢市では、今年3月下旬から藤沢市医師会と提携し、自宅療養者のうち、症状の悪化リスクが比較的高い人(入院待機者や血中酸素飽和度が95%以下の者)を対象に24時間体制でオンライン診療や自宅訪問などの取り組みをスタートさせています。市内の約120の診療所と8病院が対応にあたり、3月23日から5月6日までにオンライン診療が34件行われました。鎌倉市や平塚市でも藤沢市同様のオンライン診療などを行っています。

東京都品川区医師会は7月から、荏原医師会、品川区薬剤師会の協力のもとに新型コロナの自宅療養者および入院調整中の自宅待機者のオンライン診療を始めています。保健所が自宅療養者にオンライン診療が必要と判断すると、患者にオンライン診療用のURLを発行します。患者はそのURLより仮想の待合室に入って待機します。そうすると、登録している医療機関のパソコンやタブレットに患者が入室していることを通知し、手の空いているドクターがオンライン診療にあたります。地域の複数のドクターで自宅療養者をオンライン診療する仕組みです。東京都医師会も8月13日の会見で、自宅療養者に対し、オンライン診療を活用したフォローアップ体制の整備に着手したことを明らかにしています。

福岡市医師会は、8月11日より新型コロナ自宅療養者に対するオンライン診療を開始しました。市内の約190の医療機関が対応にあたっています。保健所の聞き取りや患者本人からの希望などに基づき、市内の医療機関が電話やインターネットで診療を行います。自宅療養者には容体が悪化した場合、直接医療機関に連絡するよう事前に説明し、パルスオキシメータも配布されます。薬剤は郵送などで自宅に届けられます。福岡市内では8月10日時点で約3,000人の新型コロナ患者が自宅療養となっています。

身近な地域の診療所がオンライン診療や往診などによって、新型コロナ自宅療養者の状況を適切に把握し、いつでも治療につなげられる体制整備が急がれるところです。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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