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公開日:2022.09.27
5~11歳への新型コロナウイルスワクチン接種について、予防接種法に基づく「努力義務」の適用が9月上旬から始まりました。小児の接種について、オミクロン株流行下での一定の科学的知見が得られたことによります。厚労省は「接種は強制ではなく、ご本人や保護者の判断に基づき受けてもらうもの」としています。
5~11歳への新型コロナウイルスワクチン接種は、2022年2月から開始され、2回接種完了は9月12日時点で18.6%と他の年代と比べ圧倒的に低いとされます。
厚労省は、5〜11歳のワクチン接種をこれまで「推奨」としているのを9月6日から「努力義務」に変更しました。予防接種法の規定では、「接種を受けるよう努めなければならない」とあります。対象者が16歳未満の場合は保護者に「受けさせるため必要な措置を講ずるよう努めなければならない」としています。義務とは異なり、予防の観点から接種の協力を呼び掛けるという形です。
努力義務に変更した理由としては、第7波で多くを占める子どもの発症を一定程度防ぎ、重症化予防も期待できるとする新たなデータが明らかになったことが挙げられます。海外の臨床試験によると、5〜11歳の2回接種の発症予防効果は中等度の有効性がみられ、入院予防効果は接種後2か月間で約80%の有効性が報告されています。また、米国の大規模データベースによる解析で、安全性に関する懸念はないと報告され、日本での副反応疑い報告の状況からも、重大な懸念はないとされています。
小児感染者の多くは軽症ですが、オミクロン株の流行下で感染者が急増しています。今年9月7日からの1週間の10歳未満の感染者は9万1,071人で、全体の約16%を占めています。脳症や心筋炎の重症者もみられ、10歳未満のコロナによる死亡例はオミクロン株流行前の2021年には皆無でしたが、オミクロン株流行以降の9か月で21例が報告されています。
厚労省の動きを受けて、日本小児科学会も8月、ワクチン接種への見解を「意義がある」からより積極的な「接種を推奨する」に変更しました。理由としては、メリット(発症予防や重症化予防など)がデメリット(副反応など)を大きく上回ると判断したからとしています。
3回目接種に関するエビデンスも蓄積され、時間とともに低下した感染予防効果が3回目接種により回復することや副反応も2回目接種と同程度であることが報告され、5〜11歳への3回目接種についても努力義務が適用されることになりました。
予防接種法に基づいて行われる定期接種の4種混合、麻疹、風疹などの予防接種も集団を守るという観点から努力義務が課せられています。
厚労省は「接種は強制ではなく、ご本人や保護者の判断に基づき受けてもらうことに変わりはない」としています。
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