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AYA世代のがん患者の特徴と治療

AYA世代のがん患者の特徴と治療

公開日:2023.09.21

AYA(アヤ)世代は、Adolescent&Young Adult(思春期・若年成人)の略で、15歳から40歳未満を指します。この年代のがん患者は年間約2万人で、進学、就職、子育てなどライフステージが大きく変化するためそれらのニーズに合わせた治療が必要となります。

年代によって発症しやすいがんの種類が異なる

国内では、毎年約2万人のAYA世代が、がんの診断を受けていると推定されます。年代別のがん診断の推定値は、15歳~19歳が約900例、20歳代は約4,200例、30歳代は約16,300例です(2009年~2011年の罹患率をもとに推計)。近年、若年層におけるがんの発症が増加していますが、AYA世代には、子どもから大人への移行期も含まれるため、小児で発症することが多いがんと成人で発症することが多いがん両方を発症する可能性があり、また年代によって発症しやすいがんの種類が異なっています。15歳から19歳では小児にも発症しやすい白血病、リンパ腫、胚細胞腫瘍・性腺腫瘍(精巣腫瘍や卵巣腫瘍など)、脳腫瘍、甲状腺がんといったがんが多い一方で、これらのがんは20代では徐々に減少し、30代では特に女性の乳がん、子宮頸がんや大腸がんといったがんが多くなります。国立がん研究センターなどの分析によると、他の世代とは異なり、30代でがんと診断された人の8割近くが女性とされます。

早期発見の機会が限られる

がんの進行速度はその種類によって異なります。例えば、胃がん、大腸がんなどは比較的進行がゆっくりで年単位で進行するケースが多く、急性白血病、リンパ腫などは進行が早く、場合によっては1日単位で進行することもあります。AYA世代の発症しやすいがんは進行が早い傾向があります。さらに、AYA世代はがん検診や人間ドックを受ける機会が少なく、早期発見の機会が限られています。そのため、何らかの症状によって病院を受診したときや健康診断などをきっかけに見つかるケースが多くあります。高齢者と比べて自分ががんになるという意識が低いため、自覚症状からがんを疑うことが少なく、症状が進行した状態で発見されることも多いです。

社会全体でサポートすることが大切

15歳から20歳にかけてよくみられる白血病やリンパ腫、脳腫瘍などに関しては、成人患者に準じた治療よりも、より強い治療が可能な小児患者に準じた治療が効果的な場合もあります。治療は、種類や進行度によって異なりますが、手術、化学療法、放射線療法、免疫療法など、複合的なアプローチが取られることがあります。近年では、個々のがんの特性に合わせたターゲット・セラピーも進歩しており、より効果的な治療が可能となっています。また、AYA世代に対するがん治療は、主に卵巣、精巣等の機能に影響を及ぼすため、妊娠・出産を希望する患者はその対応策が必要になります。このため、AYA世代のがん患者が癌の治療前に卵子、精子、受精卵などの凍結保存する場合、経済的負担を軽減するための国の費用助成が2021年から始まっています。

AYA世代は身体的かつ精神的に成長・ 発達し、自立していく重要な時期であり、がんとの闘病中に就学・就労・結婚・出産など、人生における重要なイベントと向き合う時期でもあります。心理的・社会的問題とともに置かれる状況も様々であるため、医療機関のみならず社会全体でサポートすることが大切になります。

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アソースナビ編集部

メディアスグループは、医療機器の販売を中心とした事業を展開しています。医療に携わる私たち(Medical+us)は、医療現場や人々の健康的な明日へ役立つ情報をお届けする情報発信源(Media)の役割も果たしていきたいと考えています。

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