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今後の流行リスクが高まる麻しん、風しん

今後の流行リスクが高まる麻しん、風しん

公開日:2023.04.26

麻しんや風しんの流行は春先から初夏にかけて多くみられますが、新型コロナの流行が収束に向かい海外との人の往来が増えることでこれらのウイルスが国内に持ち込まれる可能性が高くなります。また、麻しん、風しんを予防するMRワクチンの定期接種を受けた子どもの割合が低下している現状もあり、今後麻しん、風しんの感染流行が広がる可能性が懸念されます。

麻しんの感染力は非常に強い

麻しんは、「はしか」とも呼ばれ、麻しんウイルスの感染経路は①空気感染、②飛沫感染、③接触感染とされます。非常に強い感染力があり、インフルエンザやおたふくかぜの感染力を凌ぐため、集団感染を起こしやすいと考えられています。感染約10日後に鼻水、せき、発熱など風邪のような症状が現れ、その後39℃以上の高熱が続き、赤い発疹が体に広がります。通常はその後数日で熱が下がり、発疹も次第に消え、一週間後にはほぼ回復します。ただし、麻しんに罹患すると免疫機能が低下するため、肺炎や中耳炎を合併しやすく、稀ですが脳炎を発症する場合もあります。

風しんウイルスの胎児感染で先天性異常が発生

一方、風しんは、風しんウイルスの飛沫感染によって起こる感染症で、「三日ばしか」ともいわれます。麻しんと同様に強い感染力を持ち、集団感染しやすいと考えられています。潜伏期間は2〜3週間で、赤色の発疹、発熱、耳の後ろや後頭部のリンパ節の腫れなどが主な症状ですが、患者の15〜30%は、感染しても無症状といわれます。予後は良好で、多くの場合は3〜5日程度で回復します。子どもが感染してもそれほど重くはなりませんが、成人の場合は高熱や発疹が長く続くなど重症化することがあります。 そして、妊娠中の女性が風しんに感染すると、赤ちゃんが「先天性風しん症候群(難聴、心臓病、白内障など)」という病気にかかる可能性がありますので注意が必要です。風しんウイルスは一度感染すると、ウイルスに対する免疫ができ、再感染することはありませんが、免疫を持っていないか免疫が不十分な人は風しんに感染する可能性があります。

麻しん報告数が多いウクライナ、インド、ブラジル

過去の流行の推移をみると、麻しんは2007〜2008年に10~20代を中心に大きな流行がみられましたが、2008年より5年間、中学1年相当、高校3年相当の年代に2回目の麻しんワクチン接種を受ける機会を設けたことなどで、2009年以降10~20代の患者数は減少しています。一方、風しんは、2011年から海外で感染して帰国後発症する輸入例が散見されるようになり、この流行の影響で、2012年10月~2014年10月に45人の先天性風しん症候群の患者が報告されました。その後、2011年以前の水準に落ち着いていたものの、2018年には関東地方を中心に患者数の報告が増加しました。
風しん、麻しんとも報告感染者数は新型コロナ流行後には減っていますが、世界的に根絶していないことから、今後海外から持ち込まれたり、渡航した際に感染したりして広がるリスクがあるとされます。2018年(6〜11月)の世界の麻しん報告数によれば、ウクライナ、インド、ブラジル、フィリピン、マダガスカル、タイなどの国が上位を占めていました。

麻しん・風しんの予防接種率が低下

国内では2020年度に比較して2021年度には全国の麻しん・風しんの予防接種率が5パーセント下がったことが報告されており、今後麻しん、風しんの流行リスクが高まる可能性が感染症の専門家より指摘されています。

麻しん・風しんには特効薬が無いので、予防が大切になります。麻しん・風しんの定期予防接種はMRワクチンとなっており、1歳と小学校入学前の1年間の計2回受けます。被接種者の約95パーセント以上が免疫を獲得するといわれています。また、厚労省では、風しんの公的予防接種を受ける機会がなかった1962年4月2日〜1979年4月1日生まれの男性を対象として、風しんの抗体検査と予防接種を無料で受けられるクーポン券を配布する事業を2025年3月まで実施しています。

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アソースナビ編集部

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